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『バックステージ!』にモヤっと

『バックステージ! 1 (ゼノンコミックス)』

マガジン連載中の『リアルアカウント』原作者のオクショウ先生と快楽天を中心に成年誌で活動されているニイマルユウ先生による一般漫画。

先日2/20に1巻が発売され、書店で見かけて買いました。

売れないアイドルグループが売れて1年後に東京ドームを満員にしないとAV出演決定ってので頑張る話。

amazonレビューは良くて(正直「良すぎる」と思うけど)絵もさすがという感じだし、細かいこと気にしなければ勢いで楽しく読める。けど気になってしまったので書く。

 

もちろんネタバレあります。以下どうぞ。

 

 

 

 

 

 

1巻は、売れないアイドルグループが女マネージャー共々契約段階で実は騙されていて、莫大な借金背負うか売れなければ一年後に全員でAVに出るか迫られるところから話が始まる。

世間的な知名度が一気に上がったけどファンはいない状態、元凄腕プロデューサーを味方につけ無料ライブで会場を満員にするが、かかった費用のペイを「アイドル達がAV出演した時に~~できる券」みたいな一回千円のガチャで回収しようとする。

ガチャに群がるファンを見て「やっぱり男の人ってみんな結局……」と幻滅するアイドル達だったが、ガチャの一等を引いた小太りのいかにもオタクビジュアルのファンが「だってどうせ売れるしこれ持ってても」みたいなこと言いながら券を破り捨てたのをきっかけに、他の何人かのファンも同様に券を破り捨てていくのを見る。他の人に券がいかないように、彼らはガチャを引いていたのだった!それを見たアイドル達は頑張る気持ちを新たにするのだった。みたいな話。

 

いやーなんていうか……いやー……

 

いや、自分はアイドルも詳しくないしわかんないんですよ。でもさ、でも……なんていうかアイドルと性欲を引き離すのは違うと思うんですよ……

ええと、あと、アイドルグループは全くと言っていいほど人気が無かったので、ファンになってガチャ回してる人達は「その日にあったライブを見てファンになった人」なんですよね、たぶん。ファン歴1日なんですよ。

ええと、それは物語の都合上仕方ないとして……百歩譲ってそういう(券を破り捨てた)オタクがいたとしても、じゃあそうじゃない人は「ファンとは言えない」あるいは「悪いファン」なんですかね。彼女らアイドルはそういう人も含めてお金を払ってもらってるわけなんですけど、その意識が彼女たちアイドルにあるんですかねっていう。

そういった欲望を表に出すか出さないかは別にして、アイドルの存在と性欲って絶対に無縁じゃないと思うんですよ。当たり前ですけど。

 

あとこの1巻では、アイドル達の成長があまりにも描かれていない。いつもやってるアイドルレッスン頑張っています、以上のことが描かれていない。精神的な成長も、あまりないと思う。アイドル達の周りの大人があれこれ動いて、装置の一つとしてアイドル達がいるだけに見える。

 

最後までそういう方向性なのか、今後それも描いていくのかわからないけど、そういう感じなのでいまいちアイドル達に対して頑張れと思えない。

 

だから、↑で言った「男と性欲」に関することだって、AV女優やそういうサービス店で仕事をしている人のように男のそういう欲望を完全に受け入れろってのは無理な話なんだけど、様々な男がいることを自然と受け入れる描き方にすべきだったんじゃないのかなあ(どのような話ならそれが自然な話になるかは別にして)

 

まぁなんというかそういう感じです。自分はこの時点で、この漫画にファンタジー感が出てしまって、一歩引いた視点でしか見れなくなった。

 

 

少し別の話にはなるけど、漫画って「フィクションだから細かいリアリティはどうでもいい(漫画なんだから細かいこと言うなよ)」と「リアリティが無ければ漫画としての厚みが出ない」の二種類があって、それの読者の感じ方ってあんまり理屈じゃないので、判断とか匙加減ってすごく難しい気がしてます。でもこの漫画『バックステージ!』は後者、リアリティが重要な漫画だと思うので、今回のようなことを思ったのでした。

 

 

おわり。